碧空3637 nautilus1980(洞窟のような微笑、湖中の島の牢獄、青い精子)
3637 nautilus1980(洞窟のような微笑、湖中の島の牢獄、青い精子)
褐色のメランコリーが荒野となって覆う「モナリザ」をのぞき込むことは、告解の如く、他の誰かのこととなった「私」の秘密を窃視するのであるが、それは、J.J.Rousseauの湖中の島の牢獄の、その雌雄同体の隠遁の夢想が陰謀や追跡の気配となって包囲しかける如く、世界の広がりを取り消して何もしたことにならない巨大な倦怠の気配が迫るのである。
「モナリザ」となって、その、洞窟のような微笑となって世界は終わっている。しかし、その、雌雄同体の完璧な隠遁は、正当な倦怠に零落して、雌雄異体となって解離した雌雄同体の半具体性はあたかも何度も再現するかのように流通する騙し絵である。
洞窟のような微笑の背後には、Wakefield(N.Hawthorne)の如き失踪と窃視が潜んでいる。この一体の雌雄同体は、そのままでは懐胎しないが、「私」の鏡像を発見できないナルキッソスや、「審判」(F.Kafka )の気配に呼び出されて世界の広がりを取り消されたKの如き、あるいは、大いに突き進んでも一歩も進んだことにならないグレゴール・ザムザやOedipus の如き、もう一体の雌雄同体と出会えるのは、蛞蝓が青い精子を交換する交差の如くである。
交差を誘導する青い精子は、何に迫るのか。雌雄異体は器官の延長であって、世界が広がるために種と個が解離するのである。この解離は自由な決断ではなく、自殺が自由な決断に見えて擬死発作のエラーであるように、種と個が解離しない隠喩発作のエラーである。雌雄同体が姿を現わすために雌雄異体となって姿を消す隠喩発作を、青い精子は誘発する。


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