Tuesday, August 26, 2025

碧空3656 nautilus1999(魔術的隣接)

3656 nautilus1999(魔術的隣接)  「それはアンスル・ボルンという30歳の巡回牧師で、ある日(1887年1月17日)彼は銀行から551ドルの預金をおろし、突然グリーンから失踪、2ヶ月の間行方不明であった。この間彼はA.J.Brownと名乗ってペンシルベニアのノーリスタウンで小さな雑貨店を切りまわし、仕入れ万端を立派にやっていた。しかもこうした仕事はそれまでに一度もやったことがなかった。1887年3月14日、彼は突然 覚醒して家に戻ったが、その間のことは完全に忘れていた」fugue (夢中遊行的失踪)  「私」のことが他の誰かのことになる寂漠は、その落下を記憶喪失に置換すれば、他の誰かのことが「私」のことになる既視感やタイム・スリップとなって転写される。  「私」は人々とこの踏み切りを渡るのではなく今しも人々ともう一つ向こうの踏み切りを渡っているというような胸騒ぎがし、「私」はこの街に棲んでいるのではなく本当は隣の街に棲んでいるというような思いがなおらない魔術的隣接は、恋人たちがいつも擦れ違うように窃視する「君の名は」の源泉である。そこにいてそこにいないタイム・スリップの窃視の気配は、恋が息づき恋が極まるこの上ない媒質なのである。それは、「紅樓夢」の大気でもある。

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