碧空3663 nautilus2006(逃げ場のなさの飛脚)
3663 nautilus2006(逃げ場のなさの飛脚)
可惜十六のおなつを清十郎が盗み出すのは何か盗まれている!と感じられるからであるが、真っ逆さまに駆け落ちした舟を振り向かずに漕ぎまくってもいつの間にか岸べに連れ戻されている空しい運動は、逃げ場のなさの地獄の表現である。
それは、乗合舟が岸を離れて間もなく、備前からの飛脚が「状箱を宿に置いて来た」ことに気づいて喚き出す、その、母の胎内に智恵を置いて来た間抜け振りから発覚する。母性の、その胎内に雌雄同体を置いて来たことが、飛脚の舌を通して告げられるのである。
母性の、その胎内に置いて来た雌雄同体を取り戻す、というより雌雄同体に連れ戻されることは、いくら焦燥して進んでも時間が拡大して静止するまでに極まるスロー・モーションで、動いたことにならない。


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