碧空3683 nautilus2026(何かに迫る方法、に人知れず迫る鏡像)
3683 nautilus2026(何かに迫る方法、に人知れず迫る鏡像)
斬首される処刑の二時間前にこちらを見ている攘夷派浪人の写真が残されている。
ナルキッソスは、その、水鏡に映った顔が「私」の顔であると類推できる比較の材料がないために、好奇心から拾った鏡に閉じ込められている猿にひどく狼狽したチンパンジーが鏡を物陰に隠してしまおうとするように、狼狽カラ、転移発作的に頭を掻く身振りのように異性に取り憑かれることになる。恋しがる好色は、猿が採取した木の実を胃袋まで嚥下しないで頬袋に蔵してしまう行動のように極身近で、発作的に転移し易いのである。
ところで、鏡像は、種(形式)を打ち消すまでにコピーする個(具体)の、そのmetamorphosis とは逆に、次元減衰する。しかも、個の如く媒体であるのは、鏡像ではなく鏡である。鏡が孕む鏡像の媒体性は、具体が孕む半具体性なのである。
鏡像が次元減衰して半具体である如く、あの、残された、胸糞悪い処刑前の写真の顔はこちらを見ている。同時に異なる場所を占め、他の誰かのことが「私」のことになるタイム・スリップは、オマエノコトナンダゾ!と薄気味悪く迫る鏡像である。つまり、タイム・スリップは、何かに迫る方法に人知れず迫る。すなわち、隠喩やmetamorphosis に迫る隠喩なのである。


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