碧空3710 nautilus2053(魅惑と、発作的決断)
3710 nautilus2053(魅惑と、発作的決断)
「私」は、「私」を脅かすように姿を現わす。しかも、誰でもなくなる危機を躱そうとして、誰でもなくなる方へ突き進んでしまう。この下降は、魅惑なのである。
しかし、誰でもなくなれば、誰でもなくなる危機を躱せる!と、まるで発作的に決断したかのようでもある。それは、あの不運にも鏡像を知らないチンパンジーが、この奇怪な物体(鏡)をどこかに遣ってしまえば、物体の中からばかにしたような挑発(こっちを見ている鏡像)に悩まされずに済む!どころか、なかったことにさえなる!と見込むのと大差ないのかあるのか。
このエピソードは含蓄に富んでいる。個と種の解離は、個(鏡)と種(鏡像)の中間を視界から消す技術である。個の媒体性は、後れて来る「私」の器官の延長となって姿を消す。しかしそれは危機の消滅ではなく、魅惑が発作的決断に翻ったのである。ナルキッソスは、この翻訳にしくじる。


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