碧空3770 nautilus2113(種の悪夢)
3770 nautilus2113(種の悪夢)
大義の防毒覆面の装着は、狙われた革命家を異種同体にする。大義は種の夢であるのに、奇妙ニモ、異種同体のケンタウロスや鶴女房のように、誰でもない革命家に痙攣する如く覚醒するのは「私」である。
誰でもなく、無差別に沈んでいるが図らずも狙われた鶴に「私」が覚醒することは種の悪夢である。というのも、「私」は呼び出されなければ成らない矛盾に包まれた覚醒だからである。鶴女房が女体に身を窶してほとほと戸を叩くのは、呼び出されたいのであるし、異類であることの秘密が暴露するように、秘密を守るために課しておいた禁止をおかすように誘惑するのである。
雪女も、同じように誘惑する。というより、誘惑するように誘惑されている。しかし、雪女の半身は異類というよりは冬の猛威の神格であって、鶴のように救われた異類、狙い澄ましたように特別扱いされた異類ではなく、村の若者を救った神格、若者を特別にえこ贔屓した猛威、というように「私」の覚醒のきっかけが反転している。
この反転は、種の悪夢である「私」の覚醒を、鶴女房が雪女から甘んじて受け継いだ、その反動のようなものである。その逆ではない。防毒覆面を装着した革命家の、「私」が覚醒することの反動のようなものは、この、突然帰宅した革命家が窃視される異種同体なのではなく、小さな巣との間になおも分厚い距離が隔てている如く窃視する、その展開である。それは、雪女の監視の如くである。


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