碧空3817 nautilus2160(怪物の絶対疾駆)
3817 nautilus2160(怪物の絶対疾駆)
時代と呼ばれる漠とした全体が部分の振りをする怪物は、速度が取り消されるまでにもの凄いスピードで犯行に及ぶ。Jesus Christの一歩一歩が、もの凄いスピードに包まれて禁止をおかすし、「犬神家の一族」(横溝正史)の、その、くぐつ状態の長女も、「ゼロの焦点」(松本清張)の、その、時代が地獄から管を通した女も、凄まじいのは犯行の、その、程度を取り消された絶対速度である。
吉永小百合は「キューポラのある街」の、最後の、橋の中央に駆け寄るシーンで、時間旅行する。キューポラのある街に生まれた娘の平凡な旅路の途中というより、その、吉永小百合が詰め寄る距離は、下界に降りた面影を慕い追って転生した華がその面影の誰かより先に生まれてしまう「紅楼夢」の枠組みの話の、その、何か身に覚えのない致命的な憂愁と齟齬のようだ。この、怪談じみた絶対距離を詰めるために、怪物は速度を取り消して疾駆するのである。
その橋で何かが起こるとすれば、それは、世界の中心あるいはタイム・スリップであるが、もの凄い疾駆は同時に異なる場所を占める禁断のタイム・スリップへの不随意の助走に見える。チェコスロバキアとポーランドの国境のライ麦畑で何かが起こるとすればと誘導したJean Genetが、それは「貴婦人と一角獣」だと告白するのは、この絶対速度の注釈である。


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