Saturday, March 21, 2026

碧空3863 nautilus2206(死の不思議)

3863 nautilus2206(死の不思議)  ネアンデルタール人は、埋葬ということを知らなかった。死体に面して起動する本能も風習もなく、どうしたらいいか分からない狼狽から、例えば首を回すのは、同じ場所を行ったり来たりする如く解を探しているかに見えるが、そうではなく、往復や円の動作が脈絡なく出現する転移発作である。  涕泣はどうしたらいいか分からないので排悶するのである。「見た事も聞いた事もないのに、これだなと認識する」不思議は排悶ではなく、範疇が停止して流通しない言葉の恐慌である。ああアヤメ。だなと分かる不思議は、そう呼びかけられるのである。喉元まで上り詰めて来るが度忘れ状態の呼び声は、「私」を通して誰かが話すようである。  死体に面して、ああこれだなと分かる不思議は、部族の言語を話す最後の一人であるような、投げ入れた石が深々と落ちていきそうな洞窟失語症なのである。もうこの世の人ではないモーカン姉妹の窓辺や、モナリザの洞窟の如き微笑は、この不思議が死を転移修飾していて、いつまでも埋葬は終わらない。

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