碧空3866 nautilus2209(海が割れるようなスペクタクル)
3866 nautilus2209(海が割れるようなスペクタクル)
その日も、何としても売り捌けずに炭焼きが町から戻ってみると小屋いっぱいに夕日が射し込んでいて、小さな男の子がもっと小さな女の子の傍らでオトウ、コレデ首ヲカッキッテクレといって斧を差し出し、丸太を枕に横たわった。炭焼きはくらくらっときて、そのまま二つの首を落としてしまった。(「山の人生」柳田国男)
二時間もつづいて炎天下でアフリカ大平原を横ぎった後、土人は静かにタアル語で言った。
「長い間、お尋ねしようと思っていたのです。あなたが独りでこのような草原におられ、そして太陽がかように草むらの上を照らすとき、何ものかが話すように思われたことはありませんか。私が言うのは耳で聞こえるものではなしに、あなたが小さく非常に小さく、他の方が非常に大きくなるように思われるものです」
自然の前の無我!、しかしそれはいかなる前の無我!でもなく、海が割れるようにああこれだなと分かる不思議の転移修飾である。世界の終わりの如く、「見た事も聞いた事もないのに、これだなと認識する不思議」(漱石)、隠れなさ(nowhere to hide) は海が割れるようなスペクタクルである。


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