碧空3886 nautilus2229(密室の怪談)
3886 nautilus2229(密室の怪談)
「暗きをすりぬけてエレーンはわが部屋を出る・・・地を踏まざるに歩めるか、影よりも静かにランスロットの室の前にとまる」(「薤露行」漱石)
エレーンは何か死体を尋ねる。罪がランスロットを追い、ランスロットが罪を追うように。エレーンが解読しかけているのは、密室のミステリではなく、誰もいないまでに誰でもない密室のエレーンである。
密室の怪談は、解としての夢である。何かが姿を現わすために夢となって姿を消す。つまり、化けて出るのである。エレーンの八万四千の毛穴に八万四千のランスロットが一心不乱に潜む。それは、部屋の鍵穴を通り抜けるどころか、部屋の壁の分子と分子の隙間をのたうって驀進する汽車の叫びの如く貫通するのである。


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