碧空3944 nautilus2287(鍛えられた愚鈍)
3944 nautilus2287(鍛えられた愚鈍)
リフィ河を眺めるモーカン姉妹の窓辺へ石を投げ入れてみたくなるのは、今にもモーカン姉妹が本当の輪郭を探して一体の肥満体に戻りそうな真の闇が洩れているからである。真の闇を漏洩して影おどむ片隅に壷が出そうであるように、モーカン姉妹は怪談である。
色の白い新吉を見初める若い娘の顔を(水鏡のように)のぞき込むと豊志賀の顔面崩壊の萌芽が浮かび上がる因縁は、同時に同じ場所を占めてはならない禁止をおかして祟るのであるし、種が個を乗っ取って祟るのである。(「真景累ヶ淵」円朝)
こうしていつの間にか階段が一段増えていて、怪談とは、世界の終わりからの逃亡である。内鍵が掛かっている!のに閉じ込められた!といった錯誤発作なのである。
日常は怪談であるはずだが、いつの間にか階段が一段増えている気配を消して、新しさなのか、擬似過去なのか気にならないまでに鍛えられた愚鈍が日常である。


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