Thursday, April 11, 2024

碧空3154 nautilus1497(波打ち際の神話的格闘)

3154 nautilus1497(波打ち際の神話的格闘)  暴れるスサノヲの、誰かがいるはずだ!と叫ぶ誕生の危機が導く宗教的待機は、手元に漂い流れ来る椀から川上に誰かが棲むのを知って漠として騒立つ雌雄異体の気配が導く彷徨の、その神話的習性に変容する。  「雁」(鴎外)は、蛇の退治が遠いというだけで(あるいは、こんなにも身近なのに)見えなかった異性を俄然ズーム・アップするのとは逆に、異性を遠避ける。空腹である旅愁が、囚われの姫を尋ねる彷徨に勝るのである。  決闘の場所は波打ち際であるのが、神話的伝統と形式である。雪の降りしきる、驀進する貨物列車の上の決闘も、凡そ子供の胸が沸騰するようなシーンは、気を練る間に周囲の岩々が強靭なピアニシモで空中に浮かび上がっていくような波打ち際である。巌流島が水源ではあるまい。「ピレネーの城」(R.Magritte)も、異物が鬱勃と空中浮揚するのは海上ではなく、二つの焦点のある楕円盤が頭上に浮かんで蹌踉めきを誘う波打ち際でなければならない。「貴婦人と一角獣」が鬱然と起こるポーランドとチェコスロバキアの国境が蛇のように潜むライ麦畑(Jean.Genet)も、何か葛藤を孕んだ波打ち際の変形である。  スサノヲの八岐大蛇との神話的格闘も波打ち際なのだろうが、忘れられている。空腹である旅愁が囚われの姫を尋ねる神話的彷徨に変容する、その、胃袋と口唇と性器の位置異常を惹起するのが、波打ち際なのである。

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