Monday, December 11, 2017

碧空1149 MOON WALK67(実体の容疑がかかる)

1149 MOON WALK67(実体の容疑がかかる)  「最後の審判」が薄気味悪く迫るなら、誰と入れ替わったのか分からない「復活」が認識ではなく、隠れなさであるように、Mephistophelesの発する暗示と空虚に被曝してFaust は隠れない。同じようにして、Hightower も、祖父と孫の区別がおかされる空虚な特異点に向かって静かに、しかし機関車のように驀進する魔術的夢想に被曝して、隠れない。  この魔術的夢想では、雌雄異体の気配は馬蹄の轟を媒質にして(真偽や善悪ではなく)世代が解離した気配に屈折していて、世代の間が決壊して解離しない特異点が機関車の如く襲うのである。  Hightower が屋根裏部屋で見つけた祖父のトランクの中身に被曝した、その、山羊脚の症状の、もう一人のHightower とは、隠れていたものが顕れる遠近法の効果でも、遠近法に包まれて覆い隠されていることが顕れる遠近法の逆効果でもなく、そこへ向かって徐かに時間をかけて迫るが突如として時間も方向も距離も揮発することを前触れるようにして魔術的夢想が驀進して迫る、その特異点に聳え立つはずの、自由自在とはまるで何か違う献身、混合種がその献身の遠い谺、遠い思い出、遠い転生であるようにして、蜃気楼とも孤独ともまるで何か違う。それは、実体の揮発なのに実体の容疑がかかる。(「八月の光」W.Faulkner)

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