Tuesday, May 30, 2023

碧空1640 nautilus591(まるでもっと真実!6)

1640 nautilus591(まるでもっと真実!6)  1 店の女主人は極度の近視で書類や手紙をひどく間近にして読んでいたが、まるで今にも犬のようにベロリと舐めそうに見えた。(F.Kafka)  2 群衆の口はどれもぽかんと開いたままで、まるで演説の言葉をそのまま吸い込むみたいに見えた。(G.Flaubert)  3 2.26事件の朝の叉銃と歩哨の外套、そして雪。  4 EROS,OLD NICK,ELPIS,ECHO,PANIC  女店主が犬に変身する兆候は極度の近視であるが、変身するのは目撃である。  多足類の幾対もの肢が位置異常を起こして餌食を掻き込む強靭な大顎を形成する獰猛な進化のように、群衆の口が結集して群衆の自乗であるような一つの大きな口になる変身も目撃である。それは、バスチーユ監獄へ殺到する民衆を導く、あの、ドラクロワの半ば胸を剥き出しにした自由の女神が、その尾羽根を全開するような、火刑になろうとギロチンに首を晒そうと恐れを知らぬ獰猛な胃袋の延長、あるいは性器の位置異常である。  2.26事件の朝の叉銃と歩哨の外套、そして雪、モノクロームの写真をこっそりのぞく目撃はずっと後れて来るが、それは後れて来る分だけ秘密なシーンであるし、まるでもっと真実!というようなシーンとなって姿を消す目撃なのである。

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