Wednesday, September 01, 2021

碧空2007 nautilus558(奇妙な命令)

2007 nautilus558(奇妙な命令)  系統樹を辿って変脱を重ね、ついにヒトが歩き出すまで超低速撮影されて一気に映し出されたかのような進化のイラストは、通俗的であるが何か完璧と感じられる。それは、伝わらない秘密を保存しているからである。  この進化の経過を遡上する好奇心を駆るのは、「私」が同一のものではなくなる不安、媒体であることから自由ではない不安であるが、この不安は命令である。  鶴女房を、アノトキノ鶴ハ実ハと告白する誘惑に駆っていた好奇心の、その影は、「私」へと呼び出されたのに記憶喪失の時限装置が作動しているかのように同一のものではなくなっていく不安、奇妙な命令である。この、同一のものではなくなっていく不安が、のぞき見た隣の部屋で機織る女房の、その長い嘴と翼のある異類の影となって転写され、記憶喪失や墜落まであと0秒の、その、劇的に拡大された0に吸い寄せられるように好奇心が駆られるのである。  進化の分岐を遡ることは、そうした0の膨張である。

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