碧空2201 nautilus752(奇妙なズーム・アップと視野の膨張)
2201 nautilus752(奇妙なズーム・アップと視野の膨張)
ETの目には、この、異類の野生の日常は、乾燥の危機に群集して犇めくアメーバが一体の生き物の如く、一体の種の如くのたうって移動するように見えるはずだ。ETがのぞいた、というよりはまるでのぞき返されるような日常は忽然として、そうした(全体が個虫の振りをして)薄気味悪く迫る気配であって、日常の(能所の解離した)遠近法の崩壊、あるいは(種と個の解離した)範疇の失効なのである。
遠く(ETの如く)のぞむ高架の上の高速道路を一定の間隔を保持して寸分も動かないかに見えて陸続と連なる自動車の湧出は、兵隊の移動の如くして、雁が渡る如くして、突如として、その過冷却状態の現在は舞い落ちる枯葉一枚ほどの衝撃で、あるいは画面が砂嵐になるといったノイズの闖入で、一気に過ぎ去る。
彷徨うETが、追い詰められた鹿の如く断崖に出て見下ろす隠沼のような町の、その、異星の野生の灯は、まるで百年にひとたび水滴を垂らして浮上する都の如くして、この奇妙な(目配せするような)ズーム・アップと視野の膨張は、ニルスが罹ったような小さく非常に小さくなる(しかし、孤独とは何かまるで違う)魔法なのである。


0 Comments:
Post a Comment
<< Home