Saturday, February 25, 2023

碧空1546 nautilus497(ノスタルジーの暗喩)

1546 nautilus497(ノスタルジーの暗喩)  打ち消すまでにコピーする憧憬は、「私」の影が打ち消したはずのものであるのをあやしむ。  冬支度の十月を一気に黄泉返らせて「私」は軒下に吊るした大根であるのに驚くのであるし、ちらちら雪が降りかかる窓辺近く白い息を吐いて石炭を満載した馬車が入って来る1960年1月や、どこかで石英のぶつかる音がして土埃を被って揺れる路傍の草の葉が占拠する世界の片隅であるのをあやしむのである。  通りかかる壁に写る「私」の影が、打ち消したはずの細部や片隅であるような、その、胸が張り裂けるようなノスタルジーは、打ち消すまでにコピーする憧憬のun-copy である。  鶴女房が壁に異類の影を写すのはノスタルジーの(憧憬のun-copy の)例解あるいは暗喩であるが、その、のぞき穴を通した転移発作的な模写はノスタルジーの自乗である。

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