碧空3052 nautilus1395(metamorphosisの途中3)
3052 nautilus1395(metamorphosisの途中3)
「それはアンスル・ボルンという30歳の巡回牧師で、ある日(1887年1月17日)彼は銀行から551ドルの預金をおろし、突然グリーンから失踪、2ヶ月の間行方不明であった。この間彼はA.J.Brownと名乗ってペンシルベニアのノーリスタウンで小さな雑貨店を切りまわし、仕入れ万端を立派にやっていた。しかもこうした仕事はそれまでに一度もやったことがなかった。1887年3月14日、彼は突然覚醒して家に戻ったが、その間のことは完全に忘れていた」
アンスル・ボルンは、暗示的ニモ、放射線を出し尽くしてA.J.Brown なのではない。A.J.Brown は、1887年3月14日にアンスル・ボルンに戻ったのでもない。アンスル・ボルンもA.J.Brown も粘菌の如く、ポロニウムが青白い放射線を出す如く、metamorphosis の途中だからである。
これは運命譚も魔法譚も怪談も精神分析も孕んでいるが、今は、ミステリでも考えよう。双子のトリックの材料はすでに仕込まれている。暗示的ニモ、アンスル・ボルンが犯人である方向では、犯人を追い詰める者が犯人であるようなミステリにも、犯人は誰でもなくなるようなミステリにも仕上がる。それは、1gで地球を破壊するような宇宙線が起源の見当たらない方角から届くようなものである。そもそも、凡そ犯人は、metamorphosis の途中なのである。


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