碧空3322 nautilus1665(未知の病原菌の異常伝達)
3322 nautilus1665(未知の病原菌の異常伝達)
鴎外は、献身!と呼ばれる異常心理を何度ものぞきに戻らずにはいなかった。鸚鵡貝の目が見ひらいていたのであるが、「阿部一族」にせよ「堺事件」にせよ解釈するのではなく叙述して迫ろうとした。それは、un-dead 状態でうわさの如く異常伝達するのである。
献身!が鴎外に異様に映るのは、鴎外が鎧う「私」を代表するのは「自由、孤独、思考」であるが、献身!では「狐憑き、類、生首」だからである。
ところが、鴎外が新聞にしつこく連載する評判の悪い「澁江抽斎」は、献身!じみている。その、酔狂な発掘作業は、献身!に一歩一歩迫ろうとするmetaphorではなく、発掘そのものが献身!であるようなmetamorphosis なのである。つまり、ミイラ取りのことわざ通り、献身!を捕らえようとして献身!に乗っ取られた珍しい標本である。
この標本の保存は、解離しない種と個の中間の異常伝達である。鴎外の手元に小鳥のように迷い込んで来た、澁江抽斎の蔵書印も、八百屋お七が縫ったと伝わる袱紗も、その忽光は、解離した種と個の中間の伝達である貨幣や言葉では測定できない。
それにしても、どうして澁江抽斎なのか!という思いは治らないし、もう一人の「私」がいるというミステリも消えない。献身!は異常心理なのであるから、献身!は未知の病原菌!に因る感染症であるといった大胆なアイデアが、人は知らじな、コッホ教授に学んだ鴎外の生涯を徒然なるままに淋しく彩ったのである。「私」は、コッホ先生のように、未知の病原菌を発見するはずだ!


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