碧空3513 nautilus1856(鮭の旅路、人の旅路)
3513 nautilus1856(鮭の旅路、人の旅路)
天塩川を遡上して産卵するまでの鮭の旅路は、漠とした雌雄異体の気配に導かれているが、その漠とした予期がアア、コレダッタノカ!と解明される異性の覚醒は、鶴女房の壁に写る鶴の影の如く異常接続した他の誰かの潜伏に誘導されるのであるから、川底の水を白く濁らせる産卵の叫びは「私」の覚醒にギョッとするのである。
その、EROSが場所となって潜伏する生殖は、思いがけない束の間の、一回限りの「私」の覚醒と引き換えであるかに見えるが、それは、それ自体を後れて辿るEROSなのである。
人の旅路はそうではない。異常接続は反復し、接続異常の間は、「私」が狐憑きであるような矛盾が鬱勃と露頭する。この矛盾は、同時に異なる場所を占める「私」の、寂漠や、タイム・スリップや既視感といった接続異常のもう一つの表現(解)である。


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