碧空3670 nautilus2013(茨が獰猛な眠気を出して城を覆う)
3670 nautilus2013(茨が獰猛な眠気を出して城を覆う)
異性を恋しがる好色の、その狐狸の気配が何か記憶喪失!であるのは、異性に取り憑かれる「私」が、命令になるまでに無意識になった記憶を映し出す鏡だからである。この鏡が何か記憶喪失!であるのは、異性の記憶を打ち消すまでにコピーする憧憬だからである。
雌雄同体を映し出す雌雄異体は、狐狸の気配である。鏡は狐狸の気配なのである。狐狸が棲むのは、鏡と鏡像の中間である。根津から吉原の方角の夜空が、ぽーっと仄明るく、狸囃子が聞こえてきそうな中間である。
(眠れる森の)姫を何度も覗きに戻らずにはいない王妃が、何か盗まれている!と嗔恚を燃やして呼び出さずにはいない鏡像は、無意識を映し出す鏡である。王妃の症状が素直であるまでに正直であるという以上に、王妃は鏡と鏡像の中間に精通、とはいわぬまでも親しい。
姫は毒林檎を嚥下して、あるいは(魔女の呪いから逃げ場がないままに)糸車の針に触れて一気に眠りに落ちるが、その眠りは城を包む大気となってあちこちでやりかけの動作のまま静止するまでに時間が拡大して、世界が閉じる。茨が獰猛な眠気を出して城を覆うのは、雌雄同体に姫がおかされるのである。
雌雄同体の外観は、いつも眠りが覆うのではない。姥ヶ池のヌシと乳母との約束の時限装置が最終作動して、池のヌシが夜な夜な廊下を濡らして魘しかけるように姫の枕に通って来るまでは、姫の外観は活発である。しかし外観に反して、約束の時限装置は姫を蛹にする。それは、獰猛な眠気を出して、茨が城を覆うことに匹敵する。姫が魘されるのは、蛹が羽化しかけているのである。


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