碧痕177 取り違えられたカバン
177 取り違えられたカバン
空港で、瓜二つのカバンが取り違えられる。(「Frantic 」R.Polanski)この取り違えの胸騒ぎは、何も変わっていないのに取り替えられてしまっている(ゴーストが出現すると同時に潜伏する)化の、その媒体性の隠喩である。
クライトロン(ミサイルを切り離す電子部品)としてこの世の姿を現わした変身、拉致・凌辱の密輸を通して呼び出しをくらっていることの(身を隠していたいのに隠れないことの)転移発作として(失神や記憶喪失のように)目を瞑って身を隠すのではなく(死体や鏡像のように)目を瞑って身を曝すのでもなく、追跡されるFugitive が追跡されている限りで鏡像であることから逃れられないのとは逆に、追跡に打って出ることでR.Walkerは鏡像であることを振るい落とそうとする。
自由の女神の縮小レプリカが孕んだクライトロンをそれと知らず運ぶMichelleは、クライトロンの宿主(host)であり、クライトロンの器官の延長として蠢く暗躍の気配のスピリットは牛や黄金の雨に変身(して拉致・凌辱)するのではなくクライトロンに変身しているのであり、責めと責め苦に区別はなく、運ぶことと運ばれることにも区別はない。
この、Michelleの振動(二重性)は、カバンの取り違えを通して、運ぶこと(拉致)と運ばれること(被拉致)とに分割されるが、この分割が収斂する場面がある。屋根にばらまかれたカバンの中身から、自由の女神(クライトロン)を回収しようとして足を踏み外すMichelleの、その目一杯に伸ばした手とR.Walkerの手とがぎりぎりのところで繋がる無我状態、密通である。
対い形成の片割れは最初から拉致されている。初めて見つけるのに奪還するのである。これは、媒体性のparaphraseである。つまり、この無我状態は嫉妬と区別がつかない。
Michelleは、アメリカ人医師R.Walkerの妻、暗躍する一味に拉致され人質になって行方知れなかったSondraの身代わりなのではなく、媒体性をparaphraseするためであるかのように分身しているのであり、Sondraをどんなに強く抱き締めても、この密通を埋め合わせることはできない。
新世界で残りの半生の活路を開こうとした人々を乗せて旧世界から到着する船を見迎えて来た自由の女神が駆り立てたのは、移動である。移動の先には幸福が見つかるはずであり、見つからないのは移動が足りないのである。思い出のパリで移動しまくった末に、R.WalkerはSondraを奪還する。しかし、このハッピーエンドは見せかけである。
空港で、瓜二つのカバンが取り違えられる。(「Frantic 」R.Polanski)この取り違えの胸騒ぎは、何も変わっていないのに取り替えられてしまっている(ゴーストが出現すると同時に潜伏する)化の、その媒体性の隠喩である。
クライトロン(ミサイルを切り離す電子部品)としてこの世の姿を現わした変身、拉致・凌辱の密輸を通して呼び出しをくらっていることの(身を隠していたいのに隠れないことの)転移発作として(失神や記憶喪失のように)目を瞑って身を隠すのではなく(死体や鏡像のように)目を瞑って身を曝すのでもなく、追跡されるFugitive が追跡されている限りで鏡像であることから逃れられないのとは逆に、追跡に打って出ることでR.Walkerは鏡像であることを振るい落とそうとする。
自由の女神の縮小レプリカが孕んだクライトロンをそれと知らず運ぶMichelleは、クライトロンの宿主(host)であり、クライトロンの器官の延長として蠢く暗躍の気配のスピリットは牛や黄金の雨に変身(して拉致・凌辱)するのではなくクライトロンに変身しているのであり、責めと責め苦に区別はなく、運ぶことと運ばれることにも区別はない。
この、Michelleの振動(二重性)は、カバンの取り違えを通して、運ぶこと(拉致)と運ばれること(被拉致)とに分割されるが、この分割が収斂する場面がある。屋根にばらまかれたカバンの中身から、自由の女神(クライトロン)を回収しようとして足を踏み外すMichelleの、その目一杯に伸ばした手とR.Walkerの手とがぎりぎりのところで繋がる無我状態、密通である。
対い形成の片割れは最初から拉致されている。初めて見つけるのに奪還するのである。これは、媒体性のparaphraseである。つまり、この無我状態は嫉妬と区別がつかない。
Michelleは、アメリカ人医師R.Walkerの妻、暗躍する一味に拉致され人質になって行方知れなかったSondraの身代わりなのではなく、媒体性をparaphraseするためであるかのように分身しているのであり、Sondraをどんなに強く抱き締めても、この密通を埋め合わせることはできない。
新世界で残りの半生の活路を開こうとした人々を乗せて旧世界から到着する船を見迎えて来た自由の女神が駆り立てたのは、移動である。移動の先には幸福が見つかるはずであり、見つからないのは移動が足りないのである。思い出のパリで移動しまくった末に、R.WalkerはSondraを奪還する。しかし、このハッピーエンドは見せかけである。


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