碧空1851 nautilus602(財宝を守護する怪物の図)
1851 nautilus602(財宝を守護する怪物の図)
1 移動する図
図々しくも貞操を何でもいいから繋ぎ留めて誘惑に抗う素振りのボヴァリー夫人と、誘惑が停止しないように「移動への熱狂」に駆られたレオンを乗せて馬車は、グラン・ポン街、デ・ザール広場、ナポレオン河岸、ヌフ橋、ピエール・コルネイユ像、ラ・ファイエット十字路、サン・スヴェール駅、ニレの並木路、曳船道、そしてワセルの方へ、カトルマール通り、ソットヴィル通り、ラ・グランド・ショッセ通り、エルブッフ街、植物園、サン・スヴェール通り、キュランディエ河岸、オ・ムール河岸、もう一度ヌフ橋、シャン・ド・マルス広場、養老院の裏手、ブーヴルーユ大通り、コーショワーズ大通り、モン・リブーデ通り、ドゥヴィルの斜面、サン・ポル地区、レスキュール河岸、モン・ガルガン通り、リージュ・マール、ガヤール・ボア広場、マラドルリー通り、ディナンドリー通り、サン・ロマン通り、サン・ヴィヴィアン教会、サン・マクルー教会、サン・ニケーズ通り、税関前、バス・ヴィエイユ・トゥール小広場、トロワ・ピップ酒場、モニュマンタル墓地・・・(「ボヴァリー夫人」G.Flaubert)
2 立ち尽くす図
手袋をとって、売台の上で釣銭を数えている若き日のボヴァリー夫人を、窓ガラス越しに見ていた。それから、チュヴァッシュ夫人の家の呼び鈴を鳴らすと、扉が開いて、ボヴァリー夫人は入っていって、大きな重い扉が再び閉まって、扉の前でレオンは立ち尽くす・・・
タイム・スリップするような秘密の独占なのに失われている、この光速を、この異常接近を、この窃視を失わないように不断に移動し、しかも立ち尽くすのである。それは、絶エズ前進シテイルノニ!世界ガ終ワッテイルノデ(まるで強硬症のように)一歩モ前ニ進マナイ!、と主張する声の、その、神話的な葛藤のエコーと分割である。


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