碧空1914 nautilus665(本当の「私」に迫るレトリック、「私」を包む神秘)
1914 nautilus665(本当の「私」に迫るレトリック、「私」を包む神秘)
真実と「私」を混同して、さらに他の誰かのことにして、隠れていたものが顕れる告白は、真実の場所と場所が変態した「私」とが解離する。真実と他の誰かを混同して、さらに「私」のことにして、隠れていたものが顕れる伝聞は、真実の目的と目的が変態した他の誰かとが解離する。
他の誰かのことにする告白の離れ業は、たった一つのものがもう一つのものにすり替わるのであるが、「私」のことにする伝聞の離れ業は、もう一つのものがたった一つのものにすり替わる。
そのようにして、「私」を包む矛盾、葛藤が分割され、しかも分割された先で葛藤の片割れと入れ替わるようにして隠れていたものが顕れる効果に包まれるのである。
伝聞と告白の如何わしさを打ち消すまでにコピーする推理は、「私」を包む矛盾、葛藤が分割された先で葛藤の片割れにすり替わるというより、まるで葛藤が再発するかのように二重に片割れにすり替わって隠れていたものが顕れる効果に包まれるのである。それは、伝聞や告白と如何わしさの何も変わらない説得術として真に迫るミステリの解明ではあっても、「私」を包む神秘が目を見ひらくように迫るのではない。ミステリの試みが満たされないのは、「私」を包む神秘にはまるで届かないからである。


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