Saturday, July 20, 2024

碧空3254 nautilus1597(後れて来るHamlet)

3254 nautilus1597(後れて来るHamlet)  Hamletを神秘的とまではいわぬまでも幽霊じみたものにする劇的配置は、一過性の不眠症や記憶喪失の如き巷間の酒場での放蕩三昧の間に、「私」のことが他の誰かのことに転移して父王を陥れている展開である。後れて来るHamletが復讐の決断を逡巡するのは、この復讐は義に生きることなどではなく、この劇的展開が、自らを罰する「ために」他の誰かを罰してしまうからである。  この、目的と原因と場所が収斂した異様な「ために」は、「私」が行く「ために」立ち昇る「野火」(大岡昇平)の位置異常を劇的にズーム・アップするし、J.J.Rousseauの行手を試煉の如く狙い澄まして異常接近する追跡の気配にも含まれている。  それは、首謀者が器官の延長としての実行者を切り離して闇に葬ろうとするようなありふれた卑怯さなのではなく、飽くまでも自らを罰する「ために」後れて来るHamletが、父王を殺して乗っ取る運命や良心から自由にならないが他の誰かになるまで器官を延長して姿を現わした魂を踏み潰してしまうグロテスクなのである。

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