碧空3619 nautilus1962(流通するアマリリス、流通しないアマリリス)
3619 nautilus1962(流通するアマリリス、流通しないアマリリス)
生け垣越しにのぞくと、真っ赤に咲き誇る花が、通り過ぎる♂の「私」と♀の「私」を呼び止め、アマリリス。と呼ぶ声がする。
あの、誰かが翳るような範疇の停止、その呼ぶ声は♀の「私」の声帯を通してスーパー・ヴォイスの如く聞こえて来たのである。
オルゴールのアマリリスやらリコーダーのアマリリスやら杉並児童合唱団の混声のためのアマリリスやらがごっちゃになって蘇って来たが、その平均値であるようなルイ十三世のアマリリスは不断に限界を拡大する種の如く、予定調和的な、実在!する如き、流通しないアマリリスである。
それは、誰かが翳るような「私」という呼び声の如くである。誰かが翳るようにアマリリス。と呼ぶ声の如くである。phantom circuit 上のスーパー・ヴォイスの如き、この、アマリリス。は範疇が失効して流通しないが、「私」が他の誰かになるまでに声帯を延長して他の誰かの声帯の延長になるように「私」が再現する、そうした時間を媒質とする屈折が、phantom circuit を脱したかのように騙す流通(擬伝達)である。


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