碧空3657 nautilus2000(誰かが話す気配はいきなり二回目)
3657 nautilus2000(誰かが話す気配はいきなり二回目)
「紅樓夢」の枠組に従えば、主人公は下界に興味が尽きず失踪、あるいは異界を訪問するのであるが、その誕生は記憶喪失であるから、他の誰かのことが「私」のことになるのである。いつも慈愛を以て水を注がれていた花は主人公を慕い、恋い焦がれて後を追うが、見つけるべき主人公より先に誕生してしまう。
「Wakefield」(N.Hawhhorne)の失踪は記憶喪失ではなく、落下である。その恋は、「私」のことが他の誰かのことになる魔術的隣接の、その窃視に極まる。「私」の埋まっている場所を見つけて欲しいと恋しがるのであるし、「私」の顔を覆う土や枯葉をそれと知らずに妻が踏みつけて歩くのである。しかし、その視座は低いのではなく、高々と見渡すと同時に片隅を一気にズーム・アップするのであるが、何か記憶喪失が潜んでいて他の誰かの話が「私」の話になって、その、誰かが話す気配はいきなり二回目なのである。


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