Friday, May 18, 2018

碧空1254 MOON WALK172(主体の麻痺)

1254 MOON WALK172(主体の麻痺)  スリルの増幅は、眼耳鼻舌身意のうち少なくとも一つは器官を喪失しているか、あるいは失われたり麻痺しているも同然の状態にするか、さらには気を失って危険に対して無謀なまでに無防備な擬死発作で宙吊りになるかである。  Thomas Aquinasを突然襲った聾するような無時間のスリルは、いつまでも今を主張する(現在の過冷却状態である)幽霊船と、その音もない崩壊を見たのであるが、見たことにはならない不気味である。今を主張する幽霊船があふれ出した場所の圧倒であるように、主体の麻痺は、場所や気配を感じない振りをするために場所を模写する失神、気絶のような擬死発作のスリルというより、場所の猖獗、この世のものとこの世の間が決壊して解離しない筋肉弛緩である。「私」はただの紙切れ同然になって宙吊りになる。  「ラーディクス・ペディス・ディアボリー(悪魔の足の根)」の、その、人の足にも山羊の足にも似た根の効能は、恐怖の攣縮を惹起するだけでなく恐怖や擬死を無効にする筋肉弛緩である。それは、この世の終わりの断崖に出るようなもので、客観に転写される余地がもはやなく、主体が嘘のように消える身に覚えのない気絶、移植された他の誰かの失神や記憶喪失、そうした主体の麻痺は、客観に転写されて防衛するといったものではない。

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