Sunday, November 21, 2021

碧空2088 nautilus639(姦通を吹き込まれる)

2088 nautilus639(姦通を吹き込まれる)  修復作業で奥の壁にキューピッドが現われた「窓辺で手紙を読む女」と、以前の状態の(奥の壁のキューピッドの絵が塗りつぶされた状態の)「窓辺で手紙を読む女」(Vermeer )とが並置されていると、もともと予定調和的全体としての「窓辺で手紙を読む女」が、あらためて種の如く出現しては逃れ去って、三枚の色違いの切手「Zeppelin」を前にして痺れるように、うっとりする。しかし、修復後のそれは余計な註釈であるし、「正本」ですらない。というのも、原作とは、個々の「Zeppelin」の間に出現する「Zeppelin」(種)の如く、あるいは「私」の如く出現しては逃れ去る蜃気楼、個と種の中間、あるいは解と問の中間だからである。原作に、写真撮影は到達しないし、遠近法では焦点を搾り込めない。原作は、発見された原作(鏡像)の場所(鏡)であって、いつまでも原作にならない神話的懲罰である。  ところで、明るい窓の方にマリアのように体をひらいて手紙を読む女に吹き込まれるEROSは、窓からも、半ば寄せられたカーテンの陰からものぞいているし、内側にいっぱいに開いた暗い硝子窓を鏡にして女の姿をしてのぞいてもいて、姦通を吹き込む。  同じようにして、半身を馬体にした神格の女騎士!は、ヴィルヘルムの行く先々で姿をのぞかせ、夜の暗い窓にはヴィルヘルムの姿をしてのぞいているはずだ。吹き込んで来る女騎士!を分割したイラスト「貴婦人と一角獣」では、貴婦人に侍るヴィルヘルムが物言わぬ一角獣に変身させられ、姦通を吹き込まれるのである。

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