碧空2091 nautilus642(魂の瞬間移動)
2091 nautilus642(魂の瞬間移動)
発破をかけるとか縄梯子とかが窮地からの脱出法を暗示するように、思いがけなく現われたのは垂直に伸びる壁面で、しかし登攀する手掛かりも足掛かりも次々と崩れるなか、その度にひと足掻き先に新しい枝状突起が現われて誘う。更には右手になんと!換気口が現われたので体を滑り込ませ、追手をやり過ごそうと気配を消して身をひそめていると、しかし追手は別の経路からすぐそばまで這い寄って来ていて、暗闇のなか嗅ぎつけたとでもいうようにこちらへ顔を向ける。すかさずその顔に向かって粘着性の液体を含ませたガーゼ状の物質を投げつけて、音もなく一瞬で倒した。ギョッとしたことに、投げつけたのは「私」ではない!
こんなにも居合わせているのに、こんなにも「私」はここにいない!
追跡、陰謀の気配も寂漠も既視感も、窃視的なのに被窃視的で、「私」まであと0秒の、魂の瞬間移動まであと0秒の、その0の膨張である。


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