Tuesday, August 13, 2024

碧空3278 nautilus1621(「防毒マスクのモナリザ」)

3278 nautilus1621(「防毒マスクのモナリザ」)  バンクシーの贋物は出回っているのだろうが、それは、バンクシーが社会の臓器や腺に組み込まれてしまって機能している、ということにはならない。バンクシーの本物と贋物を区別することは、ルーヴル美術館に防毒マスクを装着したモナリザを「檸檬」(梶井基次郎)の如く、時限爆弾の如く仕掛けたバンクシーに反する堕落である。  「防毒マスクのモナリザ」に変身して置き去りにされたバンクシーは大いなる露出であったが、監視カメラに目配せすることは、隠れなさではない。バンクシーはもっと他の誰かと密会する。  21世紀に突入した頃、何本も引き込み線のある風景に陸橋は架かっていて、いつからともなく、一基の街灯の頭部がなぜか梱包されていて、その下の方に「20,000Vの高圧線 注意!」と警告する金属板の四隅がビスで留めてあるのだが、通行する人々は誰も気に留めない。時あって、白山方面から飛来した鳩が梱包された頭部に止まって街を眺めていた。  一体、ここで、隠れなさに被曝する「私」は誰なのか。梱包された頭部に変身して置き去りにされた「私」以上の、もっと他の誰か、とは一体何なのか。

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