Tuesday, January 24, 2012

碧痕148 蒐集、密通

148 蒐集、密通
 或る孤独が孤独を振り切ろうとするように猛然と自転車を漕ぎまくって道路が世界の終わりのように終わっている宙へ跳躍するのを、あの、何か法則的なものの裏をかくものの目配せとしての河口の精が自転車で並走しながら目撃している。(Dekalog9「ある孤独に関する物語」K・K)
 ゾフィアにZeppelin色違いの三枚つづりを見せたがっていた老人が眈々と狙っていたが所在不明の、赤のメルクリウスの気配づく方角もまた、猛然と宙に跳躍するようなものであるが、というのも、それは実は、赤のメルクリウス(1853年)が気配づくのではなく、碧、黄、赤の間に種や法則や、中間を突破して通過する孤独の如く出現するメルクリウスの半解脱だからである。(Dekalog10「ある希望に関する物語」K・K)
 長年月の時間がかかったコレクションに億単位の保険をかけずにはいられないのは、出現するのに億単位の時間がかかった孤独が重荷であることの症状である。本当の宝物に呼び出しをくらっては、孤独が解けてしまい、盗まれる恐れはない。老人がゾフィアに見せたがっていたZeppelinは、貨幣が模写するZeppelinではなく、ゾフィアが宙に跳躍しない限りスクープすらされないのである。
 蒐集の衝動が奇怪なのは(実ハ邪悪ナノハ)、孤独が解けることと、孤独が中間を突破して通過することとの間に振動するからである。ghost がかかって二重になるかと思えば、時間がかかって一貫性が重く圧しかかる。自転車の男の苦悶は、中間を突破しなければならない責め苦の症状が、盗聴や窃視を通して、妻ハンカの姦通としてスクープされる。媒体であることが間男に顕れたために、そのことが度忘れ状態であり、碧のハンカ、黄のハンカ、赤のハンカの間に気配づいたものに(逆せ上るように)襲われるのである。

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