Thursday, June 13, 2013

碧騒316 もの凄い空虚の、遠い谺

316 もの凄い空虚の、遠い谺  ハイド氏としての応答、ハイド氏の姿は見えないのにその声はもの凄く近くから届き、ジキル氏としての応答、ジキル氏の体は見えるのにその声はもの凄く遠くから届いて、息を詰めて対位する。それは呼び声の対位でもあり、生き延びるための転向を幽霊状態で模索する。  幽霊状態とは、そこにいてそこにいない状態、記憶喪失や失明、仮面(微行)、贅肉となって輪郭を探す肥満、場所と時間の区別がおかされるタイム・スリップといった二重の状態である。  ハイド氏をジキル氏が呼吸する地盤に移植するための記憶喪失は、ジキル氏の皮膚に不正義の症状が顕れて透明になることでもある。ジキル氏の体は見えなくなり、「ただ小便だけが、あさがおの中に、走って行って消えた。」というような、もの凄い空虚の、遠い谺か目印として辛うじてハイド氏は気配づいている。

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