碧騒370 場所の頓挫
370 場所の頓挫
白虎隊が城下の火炎を眺める場面に先立って画面に「飯盛山」と出る。悪い気配がしてぞっとする。
飯盛山、場面、画面の区別がおかされて、画面とテレビの次元の区別もおかして何かあふれ出るように掠めたのである。心中や入水首吊りなどの自殺の現場と場所の区別がおかされてぞっとするあの、まつろわぬ悪い何か、恐怖とは何か違うのは、ぞっとする身体も掠められ、侵されるからだ。
天の網島、天王寺、赤目四十八滝、今戸、心中が枕ことばなのか、地名が心中の枕ことばなのか、宇宙線におかされたように反転してしまう。心中があったと聞いて直ちに現場へ、籠に乗り込もうと腰を屈める近松門左衛門、この屈みも屈みの図も占拠されている。人形浄瑠璃の俳優(わざおぎ)が模写するのは、こうした場所の頓挫である。外在的であるか、内在的であるかの間に振動する場所を、場所と命令の間に活くくろごが模写していて、場所(命令)は運命のように導き、幽霊のようにあふれ出る。こうした反転のために、まつろわぬ悪い気配がするのである。


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