碧空479 「エウロペの拉致」或る図解
479 「エウロペの拉致」或る図解
トマーシュはサビナのアトリエにあった山高帽に興味を示した。トマーシュは「帽子をかぶると・・・壁にたてかけてあった大きな鏡の中の自分を眺め・・・前世紀の町長になった気分でどんなふうに似合うかを見たがった。」サビナがゆっくり脱ぎ出すと、トマーシュはサビナの頭に山高帽をかぶせ、二人で鏡の前に立って鏡の中の二人を観察した。サビナは「下着だけを身につけ、山高帽をかぶっていた。」(「存在の耐えられない軽さ」M.K )
突然二人は、この悪ふざけが興奮に飛躍するのに気づく。その後サビナが何年もの間追い続けていたことに気づいて驚くことになる飛躍の瞬間である。
祖父の手から父の手へ、更にはサビナの手へそしてトマーシュの手へチェコの小さな町からプラハへ渡って来た山高帽が変に光り出すとすれば、それは、一体誰の心と入れ替わったのか分からない山高帽が、山高帽を映し出す鏡を覗き込むことを通して、「わたしだけが足りない」状態を脱け出すのであるが、それはまた、山高帽におどむ目に覗き返されることでもあって、覗き穴の能所が解離しなくなる発作の瞬間なのである。
この「壁にたてかけてあった大きな鏡」を覗き込むことは百年ものがらくたが詰め込まれた屋根裏部屋に顔を入れるようなことで、下着だけのサビナには鸚鵡貝の目がみひらくように隠沼が顕れる。そればかりか、山高帽にメタモルフォーゼしたトマーシュの窃視と凌辱も鸚鵡貝の目がみひらくようで管を通され、サビナの全身が性器になって咲いている。「エウロ


0 Comments:
Post a Comment
<< Home