Tuesday, March 26, 2019

碧空1460 MOON WALK378(眩羞)

1460 MOON WALK378(眩羞)  箱馬車が鈴を鳴らして長堤を(長堤の向こうの川の気配は仄明るく)不断に進んでいるのに、シルエットに次元減衰した運動は凍結して不動に見える。世界ガ終ワッテイル!思いがけない光景をのぞき見る目が潜望鏡のようなのは、漆黒の地の底に沈んでいく(というより、下半身から地の闇に溶け込んでいく)からだが、それは、見えないはずの景色が見えてしまうのである。  同じようにして、眠っている下肢が重波になって打ち寄せて来るのも、見えないはずの景色が見えてしまうのであるし、侏儒同然の小坊主慈念の何か孕んだような才槌頭や佝僂の単峯瘤も、見えないはずなのに見えてしまう景色なのだ。  それは、世界の終わりが引き伸ばされて大気が旅愁であるような空腹の旅ではなく、まるで世界の終わりに出たのであり、その、隠れなさは羞恥なのである。  この眩羞、見えないはずなのに見えてしまう景色は、追跡や陰謀の気配、通り魔が魅(さ)す気配の異本である。それは、どこへ身を隠しても躱せない隠れなさを転写して、後れて来る主体が接近できるように、しかしそれは、途中までしかやって来ない主体がまるで消失点へ縮んでいくとでもいうように迫るのである。  この、場所となって潜伏しないために途中までしかやって来ない主体の蕾は、雌雄異体の気配の蕾が現在の蕾の如く萎縮して、世界の終わりが引き伸ばされないのである。

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