碧空1453 MOON WALK371(異本の二相、疾しさの二相)
1453 MOON WALK371(異本の二相、疾しさの二相)
1 本は今に或る本の振りをすると同時に或る本は本のように振る舞って、演繹的に別の異本が導かれ、起原は移動して今に或る。本と今に或る本は解離しない。神託、魔法、腹話術、推理、精神分析の系統発生を一気に通過して、何事もなかったかのように驚くのは、無心なまでに器官を延長してまるで完全犯罪の如くである。それは、本が異本となって今に或るために場所となって潜伏するのではなく、潜伏しないで異本が闇に葬られる疚しさの痕跡である。
2 本と今に或る本が解離すると、異本と異本の間に本が出現しては逃れ去る。そのようにして、本は帰納的に導かれ、保留する。この保留の態度は、本がつねに錯覚、あるいは精々歴史に留まることの疚しさからである。禅とは何か、日本画とは何か、といった問が空振りになるのは、この保留である。
「狂風記」は、1に従えば、異本を(自身も含めて)悉く焚書に処し、2に従えば、勇猛だが愚直な近似値である。


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