碧空1448 MOON WALK366(身ごもる擬似半陰陽の妄想)
1448 MOON WALK366(身ごもる擬似半陰陽の妄想)
長野主膳が忍歯別命弑逆の始末を考証、推理するのは、(耳なし)芳一が琵琶を掻き鳴らして崇め祭るように闇に葬った平家の陣営が平家蟹の甲羅になって口をひらき何度も(耳なし)芳一を呼び出す制御不能の腹話術のように、長野主膳が忍歯別命の症状となって、神の精の乗り移った山犬となって、妄想するようなものである。
長野主膳がたか女に通じたのは、忍歯別命に齋く崇秘が忍歯別命を身ごもる擬似半陰陽の妄想に見えないように、藩主から相続された妾との密通と推理に分業したのであるが、それは、隠れなさが身に覚えのない追跡の気配に変装するのではなく、雌雄異体の気配を媒質にして姦通に屈折して見えるのである。
同じようにして(しかし反転的に)たか女の症状の祟るヒメが山犬に通じて忍歯を刻印するのも、忍歯別命を身ごもる擬似半陰陽の妄想に見えないようにしようとするのであるが、神託、魔法、腹話術、推理、精神分析の系統発生は一気に区別がおかされている。
こうした(誇大と被害の区別がつかない)闇の底から、耳なし芳一のように途中までしかやって来ない主体と送れて来る主体の間の断絶を媒介する瘢痕のようにして、長野主膳が忍歯別命弑逆の始末を推理した文書が九曜の家紋を透かし彫りにしてこの世に届く。怨念「の」身ごもる文書は、誇大と被害が(あるいは受身、自発、尊敬、可能が、あるいは主格、対格、属格、同格、喩格が)擬似半陰陽となって一気に収斂、狐臭がして魅(ばか)す。


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