碧空1843 nautilus186(マーゴの旅愁、私有の悲鳴)
1843 nautilus186(マーゴの旅愁、私有の悲鳴)
蒐集や貯蔵は外在する胃袋(空腹)に宝を隠すのであるが、宝が消化されて光が失せてしまう恐れから、盗まれる恐れに変容してしまうのである。この恐れが私有の根拠であるが、盗まれている怒りや盗まれた悔いではなく盗まれる恐れとは、箪笥の底の隠し戸を開けるとすっかり太った福助が見つかるような涸渇しない二重底の空腹、本当の持ち主が接近するのでなければ光り出さない宝は盗まれない(従って本当の持ち主かどうか試される)恐れなのである。
妹マーゴが兄メイスンの睾丸から精子を採取するのは、盗まれている、あるいは盗まれた精子を取り戻すというより、マーゴの精子が盗まれないように筋肉や血管が奮い立つ二重底の空腹の射精発作である。それは、マーゴが本当の持ち主かどうか試されているのであるから、マーゴの旅愁、私有の悲鳴でもある。


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