碧痕152 媒質としての時間
152 媒質としての時間
「宇宙風化」する太陽系の「化石」イトカワから帰還したカプセルのなかに地球外の粒子が採取されていたということで、ひとしきり人々は興奮している。これは、何億㌔かをズーム・アップし、更には何十億年かを遡上して覗き見る興奮であり、分業を含めて器官を延長する興奮である。
しかし、「何億年か後の絶滅した人類の化石」は、ズーム・アップし続けた物語から一気に高々と(様々な違いを均して)遠ざかるカデンツァの一種である。
器官の延長として鳥は羽毛を、ヒトは時間を身につけた。この世のものは、時間を犠牲にして中間を突破し、すなわち、その擬態の気配を消す。死後の茫漠とした時間を粘り強く夢想し、夢想するのは、擬態の気配を消す突破(時間に棲むこと)と、擬態の気配を消せない落下(時間が解けて宙に浮くこと)の間に揺れるのである。
この、媒質としての時間は、この世の遠方に新しい天体の光を検知して、時間の逆戻りを節約する分だけ時間を犠牲にする。それは、証明できない全体を部分が代表するような抽象をこの世のものとして賦活する媒質である。一方、この落下は、浮揚と区別できなくむしろ重力の失効であるが、重力を忘れることではなく、一貫性を約束する気配(従って、中間を突破する飛躍の気配)が消せないために、重力がかからないのである。
「宇宙風化」する太陽系の「化石」イトカワから帰還したカプセルのなかに地球外の粒子が採取されていたということで、ひとしきり人々は興奮している。これは、何億㌔かをズーム・アップし、更には何十億年かを遡上して覗き見る興奮であり、分業を含めて器官を延長する興奮である。
しかし、「何億年か後の絶滅した人類の化石」は、ズーム・アップし続けた物語から一気に高々と(様々な違いを均して)遠ざかるカデンツァの一種である。
器官の延長として鳥は羽毛を、ヒトは時間を身につけた。この世のものは、時間を犠牲にして中間を突破し、すなわち、その擬態の気配を消す。死後の茫漠とした時間を粘り強く夢想し、夢想するのは、擬態の気配を消す突破(時間に棲むこと)と、擬態の気配を消せない落下(時間が解けて宙に浮くこと)の間に揺れるのである。
この、媒質としての時間は、この世の遠方に新しい天体の光を検知して、時間の逆戻りを節約する分だけ時間を犠牲にする。それは、証明できない全体を部分が代表するような抽象をこの世のものとして賦活する媒質である。一方、この落下は、浮揚と区別できなくむしろ重力の失効であるが、重力を忘れることではなく、一貫性を約束する気配(従って、中間を突破する飛躍の気配)が消せないために、重力がかからないのである。


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