Monday, July 06, 2015

碧空567 次元癒着

567 次元癒着 12-1 深い峡谷に打ち棄てられた鉄道を私と息子は歩いている。湖水を探して、そこでボートに乗ろうとしている。湖水は崖の上にあるらしく、登攀は困難を極めたがなんとか90度の傾斜を克服し、折紙のような三艘の舟を授けられる。 12-2 南下して来た道をとって返して、私は「エバ」という駅までの予約の切符を買おうとする。もし80円残ったら、道の途中にあったハンバーガーショップに立ち寄ろうと考える。 12-3 行き着いた地では、ツエツエ蝿による睡眠病の診療所に女医が治療に当たっている。ガラスの管から、翡翠色の血清が一滴垂れ、水銀の如き表面張力を示す。突然一つの確信、ここはジンバブエだ!壁にはツエツエ蝿が真っ黒に集っていて真っ赤に焼けた電気鏝のようなもので撲滅しようとすると、それは急速に結合して一匹の蛇のように生々しくうねり、膣の色相を誇示する。私は逆襲を受けてうずくまり、もしかして私も睡眠病なのではないだろうか、と危惧する。  南下と、崖上の湖へ遡上することは、下降(のスピリット)の二つの解である。女医はジンバブエのエクトプラズムであり、その人馬笛は、ハンメルンの笛吹き男がネズミを撲滅するために笛の音で誘惑するように、無数のツエツエ蝿を誘導しようとするかに見えて私こそが水銀の如き表面張力を示す睡眠へ誘われており、下降の第三の変奏である。  12-2は南下の中止ではなく、南下のための迂回、助走のようなもので、日常の細部が下降と解離しているのではなく、次元癒着している。女医の変装であるツエツエ蝿にも、両性具有や雌雄同体のような、また個が種に拡張すると同時に個に収縮するような次元癒着が感染している。1-2(碧空564「孫次郎の出現」)の土手(すなわち、遠方と夜の出会う境目)がしかも膨張して土手のこちら側でもあるために土中に沈んでいくのに目が潜望鏡のようにして見えてしまう、或いは、顔が土中に沈んで輪郭を崩していくのに「迎え」の気配に顔の輪郭を呼び出されていくような次元癒着である。

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