碧空1278 MOON WALK196(アンスル・ボルンの、括弧憑きの「失踪」)
1278 MOON WALK196(アンスル・ボルンの、括弧憑きの「失踪」)
「それはアンスル・ボルンという30歳の巡回牧師で、ある日(1887年1月17日)彼は銀行から551ドルの預金をおろし、突然グリーンから失踪、2ヶ月の間行方不明であった。この間彼はA.J.Brownと名乗ってペンシルベニアのノーリスタウンで小さな雑貨店を切りまわし、仕入れ万端を立派にやっていた。しかもこうした仕事はそれまでに一度もやったことがなかった。1887年3月14日、彼は突然覚醒して家に戻ったが、その間のことは完全に忘れていた」
アンスル・ボルンの失踪は、metamorphosis の一つの解としての失踪というより、とり返しのつかなさが埋め合わせることの案内としての括弧憑きの「失踪」、具体という以上に抽象、解という以上に問、現実性という以上に可能性なのである。何かのつづき、のようなシーンに後れて闖入して来るカール・ロスマンの、何かのつづき、のような失踪も、こうした括弧憑きの「失踪」であって、それは、後発催眠暗示のようにいざなうのである。


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