Wednesday, November 14, 2018

碧空1373 MOON WALK291(異なる世質時素が交配する気配)

1373 MOON WALK291(異なる世質時素が交配する気配)  「緑の家」(M.V.Llosa )の時制は、或る場面(の映像や声)に「ちょうどその頃」の別の場面(の映像や声)が割り込んで場所の場所が浮上して大気を寂漠にするというより、対蹠点の如く懸け離れた別の時の別の場面がまるで密林に潜むおぞましい蛙や蛇や、煩悶じみた蚊柱や群がる青蝿や、ふざけ切った亀やアルマジロや金剛インコのように隣り合っているが断絶し、獰猛な蔓植物のように絡み合い、マキサーパ猿やフライレシーリョ猿やシンビーリョ猿やペレッホ猿がキーキー鳴いて跳躍移動、連続しているかのように割り込んで来て、その、予測し難い種の瞬間移動に座標面が折り畳まれ、大気は過冷却状態の現在なのである。それは、旧世界式に個を追求、追跡して出来事が順次に整列するように神経をつかう世質時素の展開ではない。  それは、白人とインディオが混血して区別がおかされゆき、異なる世質時素、異なる習慣が交差する紛糾、混乱に時制も方向も(まるで悪疫に)冒されている、というより、その、密林のぞよめく種の気配を、とっくに過ぎ去っているはずなのに過ぎ去らない現在を、飽くまでも模写しないではいないというふうだ。  この、異なる世質時素の混乱と猖獗を潜りしのぎ、息衝き余る人格が同一であるかどうかが判明するまでの個の追求、追跡にはおかしいほど時間がかかる。というより、異なる世質時素が交配して、異なる座標で、異なる大気で、まるで別の人格の振りをして失踪しているかのようなのだ。

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