Tuesday, May 19, 2020

碧空1743 nautilus86(ヨハンが通り過ぎる!)

1743 nautilus86(ヨハンが通り過ぎる!)  「私」を「狐憑き、類、生首」が代表するヨハンのエピソードは、エラーである。「赤いバラの屋敷」の自由落下の実験の生贄として瓜二つなのにヨハンではなくアンナが拉致されたのは、エラー、取り違えたというより単に区別がつかないに過ぎないようなエラーであることが、疫病のようにこの世のものに感染して猖獗を極める。  この感染の効果の一つが、選ばれたかのようなphantom killerの誕生である。エラーのような「狐憑き、類、生首」の、人知れず壁に写る影は「自由、孤独、思考」で、この、エピソードの反転の、何度ものぞきに戻らないではいない魅惑は、二つのエピソードが解離しない限りで更に感染は拡大して、二つのエピソードが解離したのぞき穴からは凄惨な連続殺人やとり返しのつかない破壊、炎上に見える。ヨハンが通り過ぎた!のである。  世界の終わりに出ることは、呼び出されるとも取り消されるともつかないのであるから、ヨハンが通り過ぎる!のぞき穴の向こうの終わりの景色は、酷似していても何か決定的に違う。終わりの景色の現前、その、ヨハンの名を誰も呼ばない自由、孤独、そのようにして、透明にヨハンが通り過ぎる!ことは、なおも雌雄異体の気配を予期している。すなわち、なおも世界は奥行を孕んで広がっている。  この、輪郭喪失したヨハンが輪郭を呼び出そうとするように足跡を消して回る奇妙な藻掻きは、見馴れぬのたうつ筋肉の動きで透明な輪郭を揉み消すように、しかも遠吠えのように励起しようとする暗黒舞踏に酷似している。(「nautilus79~85」)

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