Thursday, January 17, 2013

碧痕267 一瞬で猖獗を極める

267 一瞬で猖獗を極める  復活は、当惑させ、金縛りにし、ぞっとして総身の毛も太る。死体が姿を晦ましたのは、誰かと入れ替わったのではないか、しかし、誰と入れ替わったのか。感染は一瞬で猖獗を極める。  ミステリが発端に死体を据えて、この当惑、眩惑を避けようとするのは、死体も犯人も個体の水準で確保、拘束しておくためである。  イエスの殺害者はイエスと入れ替わって(しかも誕生まで遡って)暮らし始めるが、死体が行方を晦まして誰かと入れ替わることでイエスは殺害者であることに遡れる。それは、誕生まで遡ることで殺害者であることを度忘れしてしまうことから、その、喉元まで上り詰めて来ている何かもどかしい抽象の、その思いがけない具体を(殺害者であることを)思い出そうと藻掻く。それが、復活である。  復活を通して、誰もが数え上げられる。どうでもいいのではなくなる。

0 Comments:

Post a Comment

<< Home