碧空896 隠れていたものが顕れる効果のスリップ
896 隠れていたものが顕れる効果のスリップ
「アブラハムよ、アブラハムよ、汝はいずこにをるや」というように呼び出されなければ成らない奴隷性に包まれて、奴隷性が(場所や反対命題や疚しさのように解離して)度忘れ状態になる限りで、異常な出生であるイサクの身体に奴隷性が顕れる。それは、個虫が部分の振りをする隠れなさの転移である。イサクにアブラハムとサラの混血が顕れたのではなく発芽が襲うのであり、血統が絶えると奴隷が家系を継ぐ接ぎ木のような古代ユダヤの慣習は、この遠い谺である。最初は二人で、それから三人になったのは、イサクの「壁に写る影」が奴隷のエリエゼルに質料化したのであるが、このエリエゼルはモリアの山へ旅をする一行の、そのあとをスリップして跟けるキルケゴールの質料化と区別がつかない。
同じようにして、クェンティンとシュリーヴは二人の小サトペンの騎行の、そのあとをスリップして跟ける。二人の小サトペンが相続した混血の衝動は神的で、チャールズ・ボンの「壁に写る影」の発覚の諸段階は復讐的である。「壁に写る影」は、第一段階では大サトペンの媒体、第二段階では近親相姦的なヘンリー・サトペンの器官の延長であるが、第三段階に至っては黒白雑婚を許さないコールドフィールドが覚醒してヘンリー・サトペンを代表し、第四段階では老ローザが、隠れていたものが顕れる効果が混血する「伽藍」で、クェンティンの推理を質料化するために「壁に写る影」を何よりも本当らしく何よりも嘘じみた神託にしてスリップするのである。
混血は、何か復讐的である。サトペンの家系に混沌と顕れた姦通や近親相姦や黒白混血は、クェンティンに顕れた媒体性や個虫が部分の振りをする無性生殖や擬似摂理がゴーストや最終状態になってかかって次元スリップしているために、隠れていたものが顕れる効果が二重に如何わしい。(「Absalom,Absalom」)


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