Monday, February 17, 2020

碧空1677 nautilus20(それはアンスル・ボルン・・・)

1677 nautilus20(それはアンスル・ボルン・・・)  世界の片隅であることを演奏する現世は、世界の終わりの目じるしと見る間に世界の終わりは逃れ去る。現世に連れ戻されるのであるが、現世はとっくに終わっているのに過冷却状態で、枯葉が水面に落ちるほどの衝撃でも一気に世界は凍結し果てる。  「それはアンスル・ボルンという30歳の巡回牧師で、ある日(1887年1月17日)彼は銀行から551ドルの預金をおろし、突然グリーンから失踪、2ヶ月の間行方不明であった。この間彼はA.J.Brownと名乗ってペンシルベニアのノーリスタウンで小さな雑貨店を切りまわし、仕入れ万端を立派にやっていた。しかもこうした仕事はそれまでに一度もやったことがなかった。1887年3月14日、彼は突然覚醒して家に戻ったが、その間のことは完全に忘れていた」  馬車に弾かれた小石が(スロー・モーションに包まれて)雑貨店の店先に転がって(どこかで蛇口から時間をかけて一滴雫いて)一気にノーリスタウンは凍結し果て、グリーンを演奏する現世に連れ戻されてしまう。この、突然のノーリスタウン世の巡回牧師アンスル・ボルンの覚醒は完全なグリーン世の雑貨商A.J.Brown の忘却であるが、その大気は、部分が全体以上であるような忍びの術なのである。  つまり、このfugue には、寿命をかけて生贄になる「禁止と誘惑の図式」が消印のように捺されていて、もう一つの「モナリザ」、もう一つの釘づけの磔刑の図なのである。

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